業務内容
以下に、弊所が依頼を受けて行う業務のうち、主なものをご紹介いたします。
なお、弊所が、現在、原則として取り扱わない業務については、こちらをご覧下さい。
特許出願
基本方針
特許権、実用新案権、意匠権の取得にあたり、出願から権利化までの各種業務(出願、拒絶理由通知対応、不服審判、審決取消訴訟など)を、特許庁における審査実務動向や審決例、また、裁判所における裁判例を踏まえ、最高水準の質で行うよう日々精進しております。とりわけ、強い特許(権利侵害として被疑侵害製品を訴追しやすく、かつ、無効にされにくい特許)の成立を常に意識した権利化業務を行います。そのためには、云われるがままに仕事をこなすのではなく、提案力を重視した仕事を心がけております。
技術分野
弊所は、ビジネス上最も特許が重要視される医薬やバイオの分野で多くの経験と実績があり、また、化粧・食品・医療機器といった分野も手掛けております。
ハイプロファイル案件
ビジネス上極めて重要な開発中や上市された医薬についての特許出願について、権利取得が難航している場合に、弊所に移管をしていただき(あるいは移管をするなくセコンドオピニオンクライアント様に提供させて頂く形で)、ゼロベースで権利化する上での問題点を検討し権利化の戦略を構築することにより、権利化を無事に達成し、市場を確保したハイプロファイルの案件も多くございます。
外国出願
弊所は、主要国(米国、欧州、カナダ、オーストラリア、台湾、韓国、シンガポール等)や新興国(中国、ロシア、ブラジル、インド等)のみならず、今後ますますの発展が見込まれる国(インドネシア、タイ、マレーシア、バングラデシュ、パキスタン、GCC、サウジアラビア、ヨルダン、アルゼンチン、メキシコ、等)を含め、多くの国の大規模事務所又は有力事務所と業務提携しております。
弊所は、各国における法律・実務と日本における法律・実務との相違に留意し(例えば、日本では、医薬用途発明を医薬用途限定付きの組成物形式でクレームすることが通常ですが、同じクレームにおける医薬用途は、米国においては、「限定」ではないとして、新規性確立の基礎とされません。)、現地代理人と適宜、密にコミュニケートすることにより、費用面、作業面あるいは、時間面において、効果的・効率的に権利取得を図ることを意識して権利化を進めてまいります。
また、弊所は、外国出願においては、例えば、台湾出願の明細書翻訳文(繁体字)をもとに中国出願の明細書翻訳文(簡体字)を作成するという対応を適宜行うことにより、中国出願の明細書翻訳文作成の費用を1/3程度に低減する、といった品質に影響を与えない費用削減を提案させていただくこともございます。
期限管理
また、弊所は、定評のある期限管理システムを採用し、法定期限及び内部期限の管理を徹底しております。弊所は、厳格なチェックの工程を実施し、期限管理システムの完全性の維持を図っております。弊所のスタッフは期限管理システムに熟練しております。それに加えて、弊所では、各弁理士も、期限管理システムに習熟することにより、期限管理システムの完全性及び業務の効率化をさらに図っております。
移管案件
また、弊所は、外国出願を得意分野とするため、外国出願やその前段階におけるPCT出願のタイミングでご依頼頂く案件も多数ございます。実際のところ、弊所における外国出願のうち、過半数が、PCT出願や外国出願のタイミングで出願のご依頼頂くか、外国出願後に弊所への移管のご依頼を頂いた案件(中途受任案件)でございます。
無効審判・訴訟
弊所は、いわゆる係争案件といわれる、侵害訴訟・審決取消訴訟等の知財訴訟事件や特許庁における無効審判・訂正審判等の審判事件についても十分な経験と実績を有しており、その結果、多くのノウハウを有しております。
とりわけ、無効審判は、無効審判を請求する側にとっては、第三者の特許によって自己実施が妨げられる状況を解決するために極めて重要な手段です。このような目的の無効審判においては、無効審判を請求する側としては、自己実施の確保のために、第三者の特許の範囲のうち、少なくとも一部について無効を導くなり、または、訂正による除去を導くことが肝要です。弊所は、かかる無効審判にも十分な経験と実績を有しております。
弊所が手掛けた近時の無効審判の例としては、以下が挙げられます。
無効審判事件(審判番号:無効第2014-800093号)
弊所は、クライアントを代理して、F社が保有する特許第4804131号(発明の名称:内因性エリスロポエチン(EPO)を増加させる方法)のいくつかの請求項に係る発明について、特許が無効である旨を主張して、無効審判を提起致しました。本件特許の特許発明は、3種類の基本骨格(ピリジン・キノリン・イソキノリン)を有する化合物群についての医薬用途発明でしたが、主にピリジンを基本骨格とする化合物に関する部分について、無効理由を有する旨を主張しました。その結果、2015年5月11日(起案日)に、ピリジンを基本骨格とする化合物に関する部分を含む限り、審判請求の対象とされた全ての請求項について無効とする旨の審決の予告を得ました。これを受けて、ピリジンを基本骨格とする化合物に関する部分をすべてクレームから除外する訂正が特許権者より請求されました。無効審判請求人としては、かかる訂正に対して格別争わず、その結果、当該訂正を前提に、ピリジンを基本骨格とする化合物に関する部分がすべて除外されたクレームについて審決(棄却審決)が出され、当該審決についても格別争わず、本審決は、2016年3月末に確定し、ピリジンを基本骨格とする化合物に関する部分がすべて除外されたクレームについて訂正が確定致しました。
無効審判事件(審判番号:無効第2013-800011号)【第2次無効審判】
弊所は、P株式会社が保有する特許第4565715号(発明の名称:粉体含有皮膚外用剤)の全ての請求項に係る発明について、特許が無効である旨を主張して、無効審判を提起致しました。請求項が2つの可分な部分を含むことに起因して、戦略上の理由から当該無効審判は二度に分けて提起致しました(第1次無効審判および第2次無効審判)。本件はそれらのうちの第2次無効審判です。本件においては、第1次無効審判において、弊所が特許が無効である旨を敢えて主張せず、それ故に第1次無効審判において訂正されることなく残った残余の部分に関して、進歩性を欠如することを主張しました。その結果、2014年8月1日に、全ての請求項を無効とする旨の審決を得ました。本審決は、2014年9月25日に確定しております。なお、本件における主引例は弊所の調査によるものです。
無効審判事件(審判番号:無効第2011-800221号)【第1次無効審判】
弊所は、P株式会社が保有する特許第4565715号(発明の名称:粉体含有皮膚外用剤)の全ての請求項に係る発明について、特許が無効である旨を主張して、無効審判を提起致しました。請求項が2つの可分な部分を含むことに起因して、戦略上の理由から当該無効審判は二度に分けて提起致しました(第1次無効審判および第2次無効審判)。本件はそれらのうちの第1次無効審判です。本件においては、弊所が新規性を欠如すると主張した部分は訂正により完全に特許請求の範囲から除去されました(なお、残余の部分に関しては第2次無効審判において、全ての請求項を無効とする旨の審決を得ました。)。
無効審判事件(審判番号:無効第2010-800110号)
弊所は、2010年6月29日に、株式会社Aが保有する特許第4109165号(発明の名称:二酸化塩素ガスの発生方法)の請求項1に係る発明について特許が無効である旨を主張して、無効審判を提起致しました。その結果、2011年4月25日に、当該請求項を無効とする旨の審決を得ました(特許審決公報発行日:2011年7月29日)。本審決は、2011年6月10日に確定しております。なお、本件における主引例は弊所の調査によるものです。
情報提供
弊所は、本来特許要件を具備しない他社特許が成立することにより、クライアント様のビジネスの継続が一時的にも困難になることを予防するため、特許庁に対し充実した情報提供を行い、審査の質のさらなる向上を図ります。
本来特許要件を具備しないものであっても、一旦特許が成立してしまえば、対世的に特許を無効にするには無効審判を経なければなりませんが、一般にそのようなプロセスは情報提供を行うよりも高額になるため、情報提供による早期の介入が望ましい場合も多くあります。
しかしながら、情報提供は、情報提供者が手続きに積極的に関与できないという制度上の制約もあり、また、単に情報を提供するだけであれば、却って特許を強固にするリスクもあります。弊所においては、情報提供に関する諸相を理解した上で、効果的な情報提供を行うためのノウハウと経験を備えております。
鑑定(オピニオンワーク)
企業の知的財産戦略を進める上で、権利侵害の有無についての鑑定や権利の有効性についての鑑定がしばしば重要な役割を果たします。
例えば、他社との本格的な係争に先立ち、社内における意思決定のための資料が必要な場合、他社との間で権利行使やライセンス締結をする場合、さらには、ベンチャー投資をする場合に知財ポジションを評価する場合、事業譲渡や会社合併に際し権利を評価する場合にも、質の高い鑑定が求められます。
早い段階での確度の高い鑑定やビジネスを捉えた鑑定は、企業の知的財産戦略の意思決定をする上で極めて重要です。弊所では、権利侵害の有無や権利の有効・無効についての紛争解決を数多く担当した弁理士がビジネスの予測性を高める鑑定を提供致します。
例えば、下記の類型の鑑定について、頻繁に依頼を受けることがございます。
- 他社特許の無効化(例えば、物質特許、用途特許、抗体特許、製剤特許等に関する優先権の有効性、新規性、進歩性、サポート要件、実施可能要件、明確性の充足性など)
- 他社特許出願について登録可能性(有効に成立する範囲)
- 他社特許の侵害の可能性(機能クレームと限定解釈、承認目的ではない臨床研究の侵害該当性、外国製造物の輸入と製法特許の侵害該当性、均等論、間接侵害、非承認用途の宣伝広告の侵害該当性、非承認用途の宣伝広告と医薬品の製造・販売の差止の可否、組み合わせ医薬特許の侵害該当性など)
- 延長登録の有効性
- 延長された特許権の効力範囲(知財高裁大合議判決が延長された特許権の効力の解釈に与える影響、「医薬品の製造原料」という承認用途と延長された特許権の効力の解釈、バイオシミラーについての延長された特許権の効力の解釈など)
調査業務
無効審判や訴訟においては、隠れた先行技術の発見が、その帰趨を分けることはしばしばです。優れた法律論理も訴訟には必須ですが、 戦えない証拠でいくら理論武装しても有効に戦いようもありません。弊所は、事案によって、泥臭い調査を粘り強く徹底して行います。 無論、単に泥臭い調査であるだけでなく、被疑侵害製品を念頭に置き証拠により組み立てるべき無効論や非侵害論を構築しつつ調査を行います。単に、関連する技術を探すような調査会社とは一線を画します。
また、弊所は、FTO(Freedom To Operate)確保のための調査を行います。自社実施技術の詳細を決定し、当該技術に資金や人的リゾースや時間を投入をする前に、侵害する蓋然性のある他社特許をいち早く見つけることができれば、適切な対応を図ることができ、資金や人的リゾースや時間を無駄にすることなく、ビジネスを進めることができます。ライセンスインを受ける場合なども同じことがいえます。
また、弊所は、特に医薬に関連するものとして、日本や米国をはじめとする主要国におけるLOE(Loss of Exclusivity)について、調査を行います。また、弊所は、医薬品特許情報報告票に関する調査やアドバイスを行います。
また、弊所は、他社特許出願・特許に対する定期的なモニタリングを行います。
知財デューデリジェンス業務
製薬企業様やベンチャーキャピタル様からの依頼で、ベンチャー企業様に投資をする際のベンチャー側の特許等にビジネス遂行に影響を与える問題がないか、とりわけ、投資判断に影響を与える問題がないか(例えば、特許が有効であるか、競合を排除でき参入障壁を築けているか、あるいは、他社特許に抵触していないか、他社特許を無効にできないか、他者特許を回避できないか)を評価致します。また、ベンチャー企業様からの依頼により、同様の評価を行うこともございます。 また、製薬会社間の製品の導入・導出に関係する知財デューデリジェンスを行うことも数多く手掛けております。
全体の工数を意識しつつ、重要度の高い項目のレビューを重点的・優先的・選択的に行うことや、調査やレビューの工程を工夫することにより、最も効率的・効果的な知財デューデリジェンスを遂行致します。
また、与えられた課題をこなすのみならず、他に検討すべき観点はないか、対応すべきアクションはないかなど、を意識しつつ提案型により、質の高い知財デューデリジェンスの精度を高めます。
弊所の知財デューデリジェンスにより、投資を実行する前に、重大な知財に関する問題が発見され、不用意で実効性のない投資を行うことを未然に防いだ事例もございます。
ライセンス・譲渡関連
事業を進める上で重要な特許のライセンスを受ける場合・与える場合においても、協調的な関係のものもあれば敵対的なものもあります。また、ベンチャー企業などでは、重要な特許のライセンスを受けること・与えることが、資金調達の肝となることも多くございます。
知的財産のライセンス(例えば、通常実施権・独占的通常実施権・専用実施権等)や譲渡においては、優れた事案分析能力や契約書分析作成能力が要求されます。ライセンスを与える側と受ける側としては、ライセンス契約における作成方針や留意点は大きく異なり、ここに戦略性が要求されます。
ライセンス契約ひとつをとってみても、対象となる特許の記載の仕方(技術ベースで定義するのか否か、今後の発明・今後の出願についての扱いを規定するのか否か、など)、登録協力に関する条項、訂正承諾に関する条項、プロセキュ―ションへの介入に関する条項、をはじめ、留意すべき点が数多くございます。また、LOIにおいては、固有の問題として、一方当事者からのレターとして記載するのか双方署名方式にするのか、後者の場合拘束力を持たせる条項・持たせない条項の切り分けをどうするのか、内容的にどこまで踏み込んで記載するか、などに戦略性が要求されます。
弊所では、クライアントの状況やニーズに合わせ、ライセンス戦略構築、提案書・警告書・回答書等の起案、 LOI・ライセンス契約・譲渡契約の作成・レビューといったアドバイス業務から、必要に応じてライセンスの実交渉に至るまで、知的財産のライセンス関連業務に豊富な経験を有する弁理士が担当致します。また、弊所では、特許庁に対する専用実施権の設定登録申請や譲渡に伴う移転登録申請などの手続きの代理を行います。
コンサルティング
ビジネスの成功には、単に特許を並べるのではなく、自らのビジネスを見据えた知的財産ポートフォリオの戦略的構築が必須となります。 見方を変えれば、特許をはじめとして知的財産は不良資産に過ぎません。出願料、出願審査請求料、特許料と積み重なれば、その額は決してわずかな投資とはいえません。 特許を徒らに出願するのではなく、メリハリをつけて有限の人財や資金を効率的に活用することによって、初めて生きた知的財産戦略が可能となります。従来型の特許事務所が、 権利化業務にフォーカスしすぎていたのとは異なり、弊所では、顧客の置かれているビジネスの内部環境や外部環境を踏まえた上で、知的財産ポートフォリオの戦略的構築を支援致します。
とりわけバイオや創薬を志向するベンチャー企業(スタートアップ)においては、知的財産ポートフォリオの戦略的構築は、ビジネスを成長させるためにも、必要な資金を得るためにも、他社にライセンスをするためにも、もはや不可欠といえます。
また、ポートフォリオの構築以外にも、知的財産関連の種々のコンサルティング業務を提供しております。知的財産の問題は、虫歯や癌の治療と同じで、早期に発見して、早期に対応した方が、結果として、大きな損害を免れることができます。例えば、契約書にある条項を1ついれるだけで、後に、無効審判を請求するとか製品や製造を変更する(承認を受け直す)といった、大がかりで、費用も1桁以上かかり、さらにリスクを伴う問題が生じることを回避できることもあります。知的財産の問題で気になることがあれば、お早目にご相談頂ければ幸甚です。
なお、弊所は、必要に応じて、提携のコンサルティング会社等と連携して、知的財産を含む総合的な経営戦略・事業戦略・研究開発戦略についてのコンサルティング業務を提供しております。
顧問
弊所は、知的財産の諸相に関し、顧問として、顧客の知的財産業務を把握しつつ、アドバイスを行っております。 特に以下の方に好適にご利用頂けます。
・知的財産業務について、現状、概ね自社内で対応できているが、知的財産業務に関し、時折発生する自分では判断し難い問題に関して、一貫したアドバイスをお求めの方
・知的財産業務について、現状、満足のいく外部の専門家のサポートが得られてはいるが、知的財産業務に関し、時折発生する重要な問題に関して、ダブルオピニオンをお求めの方
なお、顧問契約を頂いているクライアント様には、通常、出願関連の一部の料金を一部または全部減額させて頂いております(例:特許登録時の成功謝金無し、報告事務手数料の25%減額等)。詳細はお問い合わせください。
商標登録出願
商標権の取得にあたり、出願から権利化までの各種業務(出願、拒絶理由通知対応、不服審判、審決取消訴訟など)を、特許庁における審査実務動向や審決例、また、裁判所における裁判例を踏まえ、最高水準の質で行うよう日々精進しております。
また、弊所は商標権の侵害訴訟事件や異議申立事件や審判事件の経験もありますので、それらの経験を出願業務にフィードバックさせ、権利化の可能性を高め、また、「使える」権利の取得を図っております。
また、弊所は、商標の国際的保護のためのに、マドリッドプロトコル出願や外国への直接出願を行っております。実際に、商標案件の3割程度は、マドリッドプロトコル出願や外国への直接出願など、外国での権利化を図るためのものでございます。
弊所が、現在、原則として取り扱わない業務
弊所は、現在、原則として、以下の業務を取り扱っておりません。個別の事案や紹介者様によっては、お引き受けさせて頂くこともございます。
- 職務発明関連事件において、発明者様を代理して、企業様を相手方とする事件の代理
- 個人発明家様を代理する特許出願の代理
- 後発品専業製薬企業(先発品製薬企業の後発品子会社を除く。)を代理して、先発品製薬企業を相手方とする事件の代理
- 特許不実施企業様を代理して、特許実施企業を相手方とする事件の代理